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2025.09.19資産

【相続設計の未来図】遺言と家族信託を併用!財産の「承継」と「活用」を両立させるメリット

2025年9月現在、相続対策の基本は遺言の作成ですが、財産を渡す人を指定する遺言だけでは、相続後の財産の管理や活用に関する問題を解決できないケースが増えています。

そこで注目されているのが、**民事信託(家族信託)**との併用です。遺言と信託を組み合わせることで、より円滑で安心な財産承継の設計が可能になります。本記事では、遺言と信託の役割の違いと、両者を組み合わせるメリットを解説します。


1. 遺言だけでは解決できない「承継後の課題」

遺言は「誰に、どの財産を引き継がせるか」を指定する強力な手段ですが、財産の**「使い方」や「運用方法」**までは制御できません。

相続後に発生しやすいトラブルの例

遺言で相続先を決めても、以下のような問題や不公平感が残ることがあります。

  • 利用方法の対立:不動産を長男に相続させても、その後の売却、賃貸、収益配分について他の相続人と意見が対立する。
  • 財産の集中:収益物件の所有権が名義人となった一人の相続人に集中し、他の家族が収益や管理から排除され、不公平感や不満につながる。

特に以下の財産は、評価額が変動したり分割が難しかったりするため、感情的な対立を生むリスクが高い傾向があります。

  • 分割が難しい不動産(自宅、収益物件など)
  • 自社株などの事業用資産
  • 美術品、骨董品など評価が難しく価値が変動しやすい資産

2. 民事信託(家族信託)で実現する柔軟な財産管理

民事信託は、単に財産の「誰に渡すか」だけでなく、「誰が管理し、誰が利益を得るのか」「いつ・どのように渡すか」まで細かく設計できるのが特徴です。

最も大きなメリットは、財産の**「管理する権利」と「利益を受け取る権利」を分離**できる点です。

  • 具体的な仕組み:例えば、不動産の「管理」を長男に任せつつ、その賃貸「収益」を母と妹に等しく分配する、といった柔軟な設計が可能です。
  • 遺言信託の活用:遺言書の中に信託を設定する**「遺言信託」**の形をとれば、遺言と信託の機能を組み合わせ、「承継」と「活用」の両面を同時にコントロールできます。

3. 遺言と信託を組み合わせる強力なメリット

両者を併用することで、遺言の「確実な承継先指定」と、信託の「柔軟な承継後の管理」という、それぞれの強みを活かした効果が期待できます。

メリット概要
承継後の管理・活用を指定財産の承継先だけでなく、その後の管理方法や収益の分配方法まで事前に指定でき、トラブルを予防します。
分けにくい財産のトラブル予防不動産や自社株などの共有・分割が難しい財産について、管理者を定めたうえで円滑に承継でき、相続人同士の対立を防げます。
オーダーメイドの設計家族構成や個別の事情に合わせて、**「高齢の配偶者の生活資金確保」「障がいのある家族の生活支援」**など、特定の目的に合わせた柔軟な対策が可能になります。

まとめ:「承継先」と「その後の活用」の設計が重要

相続対策は、「誰に渡すか(承継先)」を指定する遺言書作成で終わらせず、「渡した後の流れ(活用)」まで設計することが重要です。

特に、不動産共有財産などトラブルになりやすい財産を抱えている場合は、遺言と民事信託を併用することで、家族の希望に沿った、安心できる相続を実現することができます。相続対策は「遺言だけで十分」と考えず、信託も視野に入れて準備を進めましょう。

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