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2025.07.09資産

【負担軽減】いらない土地を国に引き取ってもらう!「相続土地国庫帰属制度」のポイントと注意点

相続で取得した土地の中には、「使い道がない」「管理が負担になる」といった理由から手放したいと考えるケースが増えています。

2023年4月にスタートした**「相続土地国庫帰属制度」**は、こうした不要な土地について、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる仕組みです。

この記事では、制度の目的や相続放棄との違い、そして手続きの流れや注意点までわかりやすく解説します。


1. 「相続土地国庫帰属制度」とは?制度の目的と背景

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した土地を、一定の要件を満たす場合に限り国へ引き渡せる制度です。

制度の目的と背景

この制度が創設された背景には、全国的に深刻化している**「所有者不明土地」**の増加があります。

  • 社会的課題:相続後に放置された土地は、管理されないまま荒廃し、地域の景観悪化や、公共事業の支障となるなど、社会的課題となっていました。
  • 負担軽減:この制度を利用することで、土地を所有する相続人は管理責任を手放すことができ、経済的・精神的な負担の軽減が図られます。
  • 適切な管理:国に引き渡された土地は、適切な管理体制が整えられることが期待されています。

2. 相続放棄との違い:柔軟な選択肢としての国庫帰属

「不要な財産を引き継ぎたくない」と考えた場合、相続放棄も選択肢の一つですが、国庫帰属制度とは目的と効果が大きく異なります。

項目相続土地国庫帰属制度相続放棄
対象相続した土地のみすべての財産(プラス・マイナス全て)
効果不要な土地だけを手放せるすべての財産の相続権を失う(現金や預貯金も相続不可)
利用時期土地を取得したの手続き相続開始を知ってから3か月以内が原則

国庫帰属制度は、**「不要な土地だけを国に引き渡す」**ことができるため、必要な現金やその他の財産はそのまま保有できるという、柔軟な選択肢です。

ただし、制度を利用したとしても、相続税の申告義務や他の相続手続きは通常どおり発生します。全体の相続計画の中で、どの方法が最適かを検討することが重要です。


3. 制度の利用条件と申請の流れ

国庫帰属制度を利用するには、法務局での審査を経たうえで、次のような手続きが必要です。

【申請から引き渡しまでの流れ】

  • 事前相談(任意):管轄の法務局で、土地の状態や申請の見通しについて相談します。
  • 申請書の提出:必要書類をそろえて申請します。審査費用もこの段階で発生します。
  • 審査(書類+実地調査):土地の状況や法的要件を確認する実地調査が行われます。
  • 承認後、負担金の納付:10年分の土地管理相当額を納付します(原則として10万円~数十万円程度)。
  • 国庫への帰属完了

対象外となる土地や注意すべきポイント

制度を利用できるのは「一定の条件を満たした土地」に限られており、以下のような土地は対象外です。

  • 建物が建っている土地
  • 担保権(抵当権など)が設定されている土地
  • 境界が不明確な土地
  • 土壌汚染など著しい瑕疵がある土地

また、専門的な書類作成や調査が必要になるため、土地家屋調査士や司法書士などの専門家のサポートが不可欠です。審査で不承認となった場合には、土地の管理責任はそのまま相続人に残るため、注意が必要です。


4. 不要な土地の処分に悩むなら早めの相談を

相続で取得した土地が「活用できない」「維持が難しい」場合、放置することはトラブルや管理コストの増大につながります。

国庫帰属制度は、そうしたリスクを回避するための有効な選択肢ですが、利用には要件や負担金、手続きの手間が伴うため、事前の情報収集と専門家への相談が不可欠です。

相続後に慌てないよう、早めに不動産の現状を把握し、不要な土地があればどう活用・処分するのかを家族で共有しておくと安心です。

まとめ:国庫帰属制度を上手に使って相続の負担軽減を

「いらない土地」の悩みは、近年ますます深刻化しています。相続土地国庫帰属制度は、そんな課題を解決するための新しい制度です。

ただし、すべての土地が対象になるわけではなく、審査のハードルもあるため、単純に「手放せる」と考えるのではなく、制度の仕組みを正しく理解したうえで活用することが大切です。

土地の相続に不安がある方は、税理士や司法書士、不動産の専門家に相談しながら、最適な対応策を検討していきましょう。

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