
2025年03月05日(水)
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2025.07.09資産
相続で取得した土地の中には、「使い道がない」「管理が負担になる」といった理由から手放したいと考えるケースが増えています。
2023年4月にスタートした**「相続土地国庫帰属制度」**は、こうした不要な土地について、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる仕組みです。
この記事では、制度の目的や相続放棄との違い、そして手続きの流れや注意点までわかりやすく解説します。
相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した土地を、一定の要件を満たす場合に限り国へ引き渡せる制度です。
この制度が創設された背景には、全国的に深刻化している**「所有者不明土地」**の増加があります。
「不要な財産を引き継ぎたくない」と考えた場合、相続放棄も選択肢の一つですが、国庫帰属制度とは目的と効果が大きく異なります。
| 項目 | 相続土地国庫帰属制度 | 相続放棄 |
| 対象 | 相続した土地のみ | すべての財産(プラス・マイナス全て) |
| 効果 | 不要な土地だけを手放せる | すべての財産の相続権を失う(現金や預貯金も相続不可) |
| 利用時期 | 土地を取得した後の手続き | 相続開始を知ってから3か月以内が原則 |
国庫帰属制度は、**「不要な土地だけを国に引き渡す」**ことができるため、必要な現金やその他の財産はそのまま保有できるという、柔軟な選択肢です。
ただし、制度を利用したとしても、相続税の申告義務や他の相続手続きは通常どおり発生します。全体の相続計画の中で、どの方法が最適かを検討することが重要です。

国庫帰属制度を利用するには、法務局での審査を経たうえで、次のような手続きが必要です。
制度を利用できるのは「一定の条件を満たした土地」に限られており、以下のような土地は対象外です。
また、専門的な書類作成や調査が必要になるため、土地家屋調査士や司法書士などの専門家のサポートが不可欠です。審査で不承認となった場合には、土地の管理責任はそのまま相続人に残るため、注意が必要です。
相続で取得した土地が「活用できない」「維持が難しい」場合、放置することはトラブルや管理コストの増大につながります。
国庫帰属制度は、そうしたリスクを回避するための有効な選択肢ですが、利用には要件や負担金、手続きの手間が伴うため、事前の情報収集と専門家への相談が不可欠です。
相続後に慌てないよう、早めに不動産の現状を把握し、不要な土地があればどう活用・処分するのかを家族で共有しておくと安心です。
「いらない土地」の悩みは、近年ますます深刻化しています。相続土地国庫帰属制度は、そんな課題を解決するための新しい制度です。
ただし、すべての土地が対象になるわけではなく、審査のハードルもあるため、単純に「手放せる」と考えるのではなく、制度の仕組みを正しく理解したうえで活用することが大切です。
土地の相続に不安がある方は、税理士や司法書士、不動産の専門家に相談しながら、最適な対応策を検討していきましょう。
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